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新宿二丁目のドラァグクイーン〜ディタの音楽日記 1

はじめまして!
東京で活動しているドラァグクイーンのディタ・スターマインと申します。この度、私の人生で初のコラムを連載させていただくことになりました。
なるべく読んでくださっているア・ナ・タと本当に対話しているような論調で、楽しんでいただけるように書いていくので、よろしくお願いいたします。

Dita Starmine

新宿二丁目を拠点に活動を続けるドラァグクイーン。
煌びやかで芸の細やかな衣装と明るいステージパフォーマンス、凛とした人柄と印象的な笑顔で、多くの人々に愛され支えられながら、自身のイベント興行をはじめ様々なイベント等でMC・ショウガール・ホステスとして活躍中。
必ず身につけている星のアイテムがトレードマーク。

切っても切り離せない!音楽と私。

この連載は、私のドラァグクイーンとしての日常や活動を通して体験した様々な出来事を私の大好きな音楽と絡めて、私おすすめのミュージシャンとその楽曲を毎回1〜2曲ほど取り上げて勝手に紹介しちゃう!というもの。
思えば私がドラァグクイーンとして行く先ってダンスクラブやライブハウスが多くて、自分のショーでも歌ったり音楽に合わせてリップシンクしたり、そうでなくても私自身いつでもどこでも音楽を掛けているぐらい音楽を愛していて、私の人生は常に音楽が流れている状態。
まぁ、私ディタの日常とそのBGM、という感じかな☆

でも、そもそもドラァグクイーンて何?
存在は知っているけど、どんな人たち?

という方も多いと思うの。
なのでまずは、ドラァグクイーンの概要を私なりにざっくり説明してみようかしら☆

ドラァグクイーンとは??

主に「パフォーマンスやファッションを目的として、ド派手な女装をした人」
ってところかしら。

私が知っているドラァグクイーン(以下 クイーン)は、そのほとんどがゲイ男性。
人数こそ少ないけれど、トランスジェンダーや女性でもクイーンとして活躍している人もいるの。

元々は、何十年も前にゲイカルチャーの中で発生したアンダーグラウンドな存在ではあるのだけれど、近年ではその華やかなビジュアルやパフォーマンスを通して人々を楽しませたり繋いでゆく愉快な存在として、メディアでも注目されはじめています。

とあるクラブでのワンショット。

とあるクラブでのワンショット。

有難いことに私も、パフォーマーやホステスとしてのお仕事でイベントやお店に呼んでいただくことが多くて、その時のポリシーは

「お客さんに笑顔で帰ってもらう。」というのはもちろんのこと

「とびきりオシャレでいること。」
「誰に対しても私でいること。」

いつも意識していることです。
そんな私に影響を与えてくれた、一番好きなミュージシャンは誰?と聞かれたら、迷わずこの人!という歌手が居るの。

彼女の名前はシンディ・ローパー

世界の名曲「We Are The World (1985年) 」での歌唱シーンが有名です。
https://youtu.be/9AjkUyX0rVw

私も彼女を知ったのは、中学校の授業で見たこの曲のビデオ。

シンディは様々な曲調を歌いこなすこそとから「七色の歌声の歌姫」と言われている実力のあるアーティストだし、とても温かな人格者で、優しさがその音楽にも滲み出ているの。
例えば、彼女が日本のメディアのインタビューを受ける際に話す英語は、とても聞き取りやすい。ゆっくり、ハキハキと喋ってくれる。

そして何より、いつでも派手でキュートでオシャレ!
「永遠のガール」なんて異名もあるのよ。素敵☆
彼女のビジュアルにご興味を持った方は、ぜひ調べてみてください。
私が彼女のスタイルに影響を受けていることが一目で分かるはず。笑

シンディ風ヘアスタイルの私。

シンディ風ヘアスタイルの私。

今回は彼女の数ある名曲の中から、
「Set Your Heart」と言う曲を紹介。

https://youtu.be/QtzmEXWdcBA
※彼女のYouTube公式チャンネルより

彼女のアルバム
「Bring Ya To The Brink (2008年)」からの一曲で、ディスコ調のアレンジがカッコいい、私が大好きな曲のひとつなんだけれど…
先日シンディのInstagramを見ていたら彼女が「この曲はゲイ・コミュニティに向けて書いた曲」と載せていたの!

〜以下、シンディ・ローパーご本人のInstagramから〜

Set Your Heartは、ゲイ・コミュニティに向けて
「私はいつでも駆けつけるわ。」
というようなメッセージを伝えたくて作った曲です。
曲の一部に
ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツの「Where are all my friends?」
をサンプリングしているんだけど、
サポートが必要な時に見捨てられたらどんな気持ちがするか私は知っています。
「ねぇ、私の味方ってどこにいるの?」
その答えがこの曲です。
「私がここにいるよ!」

※ディタによる意訳

歌詞の内容こそ知っていたものの、まさかゲイ・コミュニティに向けて作った曲だったなんて!と感動しました。

シンディは、彼女の代表的な楽曲「True Colors」がゲイ・アンセムとして愛されていることを象徴に、
そのキャリアに渡ってLGBTに寄り添い擁護する活動を行ってきたミュージシャンの一人であり、LGBTの若者を支援する基金を設立したり、ドラァグクイーンをバックダンサーに起用したり、近年ではドラァグクイーンが主人公のミュージカル「キンキー・ブーツ」の音楽を担当したり。

昔からゲイ・コミュニティに寄り添い、カルチャーを取り入れていたんだなぁ、と。

孤独を感じた時こそ聴いてほしい曲

ドラァグクイーンって、ゲイカルチャーから生まれた文化でゲイの男性が多いって先述したけれど、ただでさえ少数派であるゲイの中でも更に少数派なの。

少数派だからどうってことはないのだけれどやはり目立つから、本人にそのつもりは無くても、活動する上で当事者・第三者の両方から見たゲイカルチャーの印象や歴史、責任を背負うことになる。
難しく言っちゃったけれど、良くも悪くも矢面に立つ存在ってわけなの。

クイーンって見るからに強そうだし(笑)、一人一人が一国の女王だなんて言われるけれど、華やかに見える反面、実はいつも一人で立っている孤高な存在でもあると私は思っていて。
ハッピーに振る舞っていても、心ここに在らずな日もある。

落ち込んだ時、この曲を掛けて自宅の鏡の前でひとりで踊ると(滑稽な画よね…)、
私はひとりじゃない、また明日からミラーボールの下でみんなを楽しませなきゃ、私自身も楽しまなきゃ!
という気持ちにしてくれる、明るい曲です。

オススメなので、ぜひ聴いてみてください☆


さて、初っ端からとんでもなく長くなってしまったけれど、最後まで読んでくださりありがとうございます。
こんな感じで、大好きなミュージシャンと素敵な楽曲たちを紹介していけたら嬉しいです。

次回からはもう少し短く…ね。
(ここまで読ませておいて、書いてる私もヘトヘト。)

では、これからよろしくお願いいたします☆

心を込めて。

新宿二丁目のドラァグクイーン〜ディタの音楽日記 1

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何かをやって時間を損するということは絶対にない。
貧乏旅をすれば、大学を二つ出たようなものだ。

永倉万治 1948 – 2000
永倉万治 1948 – 2000