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女ふたりで生きていく!ー会社でどうする編ー

初めまして。ITベンチャーで営業をやっている、たかさきあやな(現在32歳)です。
今回ご縁があって、こちらで何回かコラムを書かせていただくことになりました。
まだコラムが何かもわかっていないですが、わたしと彼女が生活する中で起こった出来事を皆さんにシェアしたいと思います。ちょっとばかしお付き合いください。

たかさきあやな

ITベンチャーで営業をやっている、32歳。

はやくも2回目になりました。前回お話したように、彼女とは前向きに色々と生きていこうとしているわけですが、
今回は生きていくのに必要なことのひとつの、「仕事・会社」で起きることについて。
あまり気にすることはないだろうと思っていたけれど、意外と気になることが多かった。

たぶん同じような方々は似たような体験があるのでは。

その日は突然やってくる

わたしは会社とプライベートでの人格があまり変わらない。気心の知れたメンバーとずっと一緒に働いているからかもしれない。だから女の子と付き合っていることもすぐに共有しようとしていた。

その日は突然やってくる。
「たかさきさん、最近の恋愛事情は?」と聞かれた。
こんな会話はいつものことで、波乱万丈のわたしの人生を何の偏見もなく聞いてくる社長だった。
付き合っているのが女性だと伝えずに、適当に会話を成立させてみる。
「あーいますよ。」「何してる人?」
そうだ。当分忘れていたけれど、二丁目(新宿二丁目のこと)ではお互い何をしてるかなんてそんなにすぐ聞くことではなかったけど、だいたいはこうやって聞かれるんだった。
わたしの付き合っている人の職業を知ったところで誰にもなにも起きないはずだけど、答えないのもおかしい。
サラリーマンではないその職業に質問は続く。
「そんな人どこで出会うの?」
それは本当にそう。
自分でも思う。ただ二丁目では出会えるのだった。
「どこで?まあ飲み屋?ですかね。」「へーどこの?」「新宿ですかね。」
(ですかねってなんだよ、自分で推測すな。怪しすぎる。)

何でも答えられると思っていたのに、予想に反してわたしはすぐに本当のことを言えなかった。
いや、回答は嘘ではないのだけれど、社長が思い描いている像と違うのにそれを訂正せずに回答していたので嘘をついているような気持ちになった。
そのときに、会社でも少し勇気をもってカミングアウト的なことをしないといけないのだと知った。

会社でのカミングアウト

カミングアウトというとけっこう大それた感じだが、わたしにとってはこれまで答えていたことに、「相手は女性です」と付け加えるだけだった。
自由奔放なわたしを会社の人は知っている。
拒絶されないこともなんとなくわかっていた。

「あのーわたし今女の子と付き合ってるんですね?」いつもみたく質問が続いたときに思い切って言ってみた。
少しは驚くかなと思っていたけど、予想以上に目の前の社長は驚いていて、豆鉄砲をくらったような顔でこっちを見て一言言った。「時代の最先端だね。」

ツッコミどころ満載のその一言でわたしはとても気が楽になった。
そのあとは社長らしく会社としてダイバーシティを大事にしていきたいという話や、アメリカでは今は女性や黒人(あえて社長の表現のまま使います)の役員がいないと上場も厳しくなってるくらいだからたかさきみたいな存在はありがたい、みたいなそれまたちょっと本質とは違うような話をしてくれた。
細かく反応すると、「いえ、そういうことではないです」ということが多いものの、一生懸命飲み込もうとしてくれている姿勢が嬉しいなと思った。
社長に言ってからは、同僚(特に女性)にはそういう話が出るたびに伝えるようにしてきた。
おかげさまで誰もわたしを否定してくる人はいなかった。(本当は色々と思っている人もいるのかもしれないけど、、)

でもひとつだけ気になったことがあった。
社長は特に女性と付き合うことを肯定してくれていたが、その理由が将来子供を産むことはなくキャリアをそのまま築けるからだった。
たしかに今わたしは子供を産む予定はない。
けどそれはわたしが誰と付き合おうと、結婚しようと、しまいと、わたしが決めることだと思った。
ただ、そこまで一気に理解してもらうことも難しいと諦めてしまっている。
もしわたしがそういう気持ちになったら伝えることにはなるのだろうけど。

ちなみに彼女はまだ仕事場でわたしたちの関係について詳細を言っていない。
前回も書いた通り、単純にルームシェアをしていることになっている。
特に女性を相手にするお仕事をしている場合や仕事場が女性ばかりの場合、どこまでオープンにするか悩ましいようだ。(他の人からも聞いたことがある。)
言わなきゃいけないこともないけれど、以前のわたしのように毎回嘘をつかない程度に話すスキルが必要になるので、それもそれで疲れるんだろうなあとは思っている。
こういうことはそれぞれの考えを尊重するようにしている。
だから今は言うつもりがないという彼女の考え方を尊重するし、それが変わったときになにかあれば協力したいと思う。

会社の制度

会社でカミングアウトをしてみて、新たにわかったことがあった。
それはわたしの会社は福利厚生で慶弔制度があって、結婚すると3万円と電報がもらえるのだけど、それはこのままいくとわたしはもらえないということだった。
結婚を証明するものとして「婚姻届・健康保険証等のコピー、住民票記載事項証明書等」が必要らしい。

あー本当に結婚ってなんだよ。
そもそも会社は結婚の何を祝っているのか。
こちらとて婚姻届を出せるのなら出したいのだ。

というちょっと感情的な部分は抑えて、、冷静に考えてみる。
そもそもわたしの会社のこの制度は、慶弔時のサポートが目的となっている。
結婚の場合は新生活へのサポートだろうか。
たしかにふたりで暮らすために引っ越しをしたり、新しい家具・家電を買ったりとお金がかかるから、そのサポートという名目なのだろう。
電報は結婚式用だろうか。
今どき結婚式をしない人たちもたくさんいる。
そういうときは家に届くんだろうか。
そもそもやっていることは同棲と変わらない。
そこに婚姻届があるだけ。

わかっている。
こういう制度でこんなことを思う人がいる想定など毛頭ないことを。
会社としては福利厚生を「一般的に」充実させることが大事で、中身を吟味する必要はそんなにないのだろう。
というか単純に必要十分という認識なんだろうと思う。
誰も悪気のない世界。
だけど少し置いてけぼりにされた気になる世界。

制度の条件を変えてもらうのは容易い気がする。
「婚姻届(もしくはそれに準ずるもの)」とかいう感じで一言足してくれたらいい。
そしてその「それに準ずるもの」を会社が認めてくれればいい。
けど会社でカミングアウトしてない人がいたら?結局婚姻届ではないそれを提出できないんだろうなと思う。
会社の制度が変わっても、やっぱり世の中の認識が、国の制度が変わらないと当事者の小さな生きづらさは残るんだろうなと思った。
今現役のわたしたち世代は世の中を、国を変えられるんだろうか。

わたしは奇跡的に「結婚は?子供は?」と口酸っぱく言ってくる人が周りにいない(母親以外)ので幾分か楽に過ごせてきたような気がしてます。
それでも男性とお付き合いしていたときは感じなかった違和感がやっぱり仕事場でも起きてしまうんだなあと。
制度もまだまだ整っていない会社のほうが多いだろうと思います。
「戦う」ではなくて自然と解決していく世の中を望みますが、やっぱり黙っていても世界は変わらないのかなあ。 5年後、10年後、30年後、この国で同じような状況にならないために今わたしができることはなんなんだろうって少しずつ考えていきたいです。

今月の彼女の萌ポイント

朝彼女のほうが起きるのが遅いのだけど、朝わたしが準備しているときに起きたので少し話して、数秒後にまた話そうと振り返ったら、すんごい大きい口を開けてまた寝ていた。
かわいい。

女ふたりで生きていく!ー会社でどうする編ー

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どんな日であれ、その日をとことん楽しむこと。
ありのままの一日。ありのままの人々。
過去は、現在に感謝すべきだということをわたしに教えてくれたような気がします。
未来を心配してばかりいたら、現在を思うさま楽しむゆとりが奪われてしまうわ。

オードリー・ヘップバーン 1929 – 1993
オードリー・ヘップバーン 1929 – 1993