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学校の先生時代:カミングアウトする編

2021年7月1日

私がこれまで経験した、仕事の中でのLGBTQ+についてお伝えしたいと思います。今回の内容は大きな事件でもなく、そんな事で悩まなくても…と思われる程度の小さな事かもしれません。しかし現在はLGBTQ+に理解のある方と、理解が難しい方が共存している時代で、法律や規則や常識ではどうすることもできない場面をこれまで見てきました。それは違う!と声を高らかに上げることも出来るかもしれませんが、私自身は声を上げるよりも毎日穏やかに、笑って過ごすことが出来るようになれば嬉しいと考え、スムーズに進めることが出来るように日々のお仕事を行ってきました。

LGBTQ+の教え子を実習先に送り出した時のこと

現場で働いていた経験を活かし、教員となって指導させて頂いた時代がありました。
現在のLGBTQ+の割合は11人に1人というデータもあり、学校という集団の場合、該当するような方がいても全く不思議ではありません。

在籍している学生のカリキュラムの中には臨床実習という外に出て経験を積む実習があり、クラス全員が多くの病院や医院で勉強させて頂きます。
外での実習は学生にとって大変貴重な経験ができる場ではありますが、その反面、初めて社会と接する学生も多く、ストレスを感じる者も少なくありません。
そんな実習の前には学生から多くの相談が寄せられます。
注意をされた時の対処法や、レポートの書き方などの通常よく聞かれる質問から、リストカットの傷跡をどう隠せば良いか?や、元交際相手からのストーカー行為で実習を続けるのが難しいなど、ドラマを見ているかのような状況もありました。
そんな多種多様の相談の中にLGBTQ+に関する相談もありました。

今回は私の説明不足により失敗を経験したケースについてです。

実習をさせて頂く場合、実習先での着替えが必須となりますが、LGBTQ+の学生が更衣室を分ける、又は1人で更衣したいと申し出る場合もあります。
小さな医院では更衣室を分けることや、1人で使用することは難しく、学生にはトイレで着替えるようにさせていました。
しかし、もしもの場合を想定して、責任者の院長先生にはその件をお伝えしておくという形式を私は取っていました。
学生の許可を取った上で院長先生にのみLGBTQ+の件を伝えしました(学生の希望から院長先生以外の方にはカミングアウトしないという希望も併せてお願いしました)。
その際、院長先生には快くご理解いただき、無事に実習はスタートします。
しかしいざ実習が始まると、院内の多くのスタッフの方がLGBTQ+の件を知っていたことが分かりました。
確認すると、院長先生がこの件を大変心配して下さり、実習生を取りまとめるチーフにのみ、何かあった場合は助けてあげてほしいという気持ちから伝えられたそうです。
そしてそのチーフも同じ気持ちで実習担当者の方に伝え…という具合に全体に広まったという状況です。
今回、実習先のすべての方が、LGBTQ+を快く受け入れて下さり、決して実習生に対して失礼になるような言動はありませんでした。
しかし、実習生にとっては院長先生にのみ開示という希望があったため、最終的には実習の継続が難しいという残念な結果になりました。
今回の実習生は信頼している人にはカミングアウトするけれども、そうでない方と親には伝えないという強い意志を持っていました。
そのような背景があり、実習先が実家と同じ町にあったことから、噂が出るのではないかという不安を持ったようです。

アウティングは慎重に

今回の件は、アウティングの難しさだと思います。

アウティングは人を貶めようとした場合や、笑い話のネタのように悪意ある場合に使われることが多い言葉だと思いますが、今回のように、心配してくださった善意のある場合でも、問題になるケースがあります。
人の気持ちや状況をくみ取り、人に言われる前に配慮した行動を取るということは大変すばらしく、社会人として身に着けるべきスキルだと思います。
但し、LGBTQ+に関しては知りえない状況や背景がある場合が多くあること、また人により受け取り方が大きく違う場合があるため、命にかかわる場合以外、アウティングは絶対に行わないという位置づけが良いかと思います。
そのようなことがあって以降、私も常に注意を払い、丁寧に説明することを心がけました。

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