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ノンビリ おこげ ライフ〜私とゲイワールド

私がこれまで経験した、仕事の中でのLGBTQ+についてお伝えしたいと思います。
今回の内容は大きな事件でもなく、そんな事で悩まなくても…と思われる程度の小さな事かもしれません。
しかし現在はLGBTQ+に理解のある方と、理解が難しい方が共存している時代で、法律や規則や常識ではどうすることもできない場面をこれまで見てきました。それは違う!と声を高らかに上げることも出来るかもしれませんが、私自身は声を上げるよりも毎日穏やかに、笑って過ごすことが出来るようになれば嬉しいと考え、スムーズに進めることが出来るように日々のお仕事を行ってきました。

松尾寛子

大阪府出身/会社員
臨床現場での経験を活かし、専門学校の教員として学生指導に従事し、これまでの経験を基に現在は高等教育に携わる方々のサポートを行う。20代の頃に1人のゲイと偶然出会ったことがきっかけとなり、性の多様性を身近に感じ、それまでの概念が大きく変化する。その後、結婚・出産を経験しつつ、LGBTQとの交流を継続し現在に至る。世間では一般的と言われるストレートという立場であること。また人権啓発としての「LGBTQとは」と掲げたこともない、ごくごく普通に生活する1人の人間。彼らとの交流を通して感じた幸せ、感性や価値観を皆様と共有することが出来たら幸いです。

ゲイワールドのトビラ

私自身も25歳まではゲイという言葉さえ知らずに生きてきました。
あの時代にテレビでよく見るおすぎとピーコさんが「おかま」という分類の方であること。
また「おかま」とは女の人になりたい男の人の事だと思っていました。また職場に50歳を過ぎても独身の男性がいて、その方の事を周りの人は「オカマだから(笑)」と言う人がおり、私も一緒に話したことがあったと思います。
そんな25歳の私が1人のゲイAさんと偶然知り合い、かわいがって頂くことになります。
そのAさんから「ゲイとは?」から始まり、私が思っていた「女の人になりたい男性」だけではなく沢山の種類があることなど、1つ1つを教えて頂きます。
今から考えると、彼の説明の上手さだけではなく、それ以上にAさんの優しさなどの人間性が素晴らしく、この人は信用できると感じて、その後同じ時間を何度も一緒に過ごさせて頂きました。
そのようなきっかけがあり、これまで多くのゲイの方々と過ごしてきました。

ストレートの世界の中では、ストレート女性の私がゲイバーに飲みに行くと話すと、物凄く遊び好きな人だと好奇の目で見られることや、TVで見る「オネェに会いたい!連れて行ってほしい」という方が沢山いらっしゃいます。
また「ゲイに嵌ったらダメになる!戻っておいで!」と真剣に心配して注意してくださる方もいました。
心配してくださる方には誠に申し訳ないと思いますが、私はストレートの方もゲイの方にも違いはないと思っています。

もし私が何も知らなかった時代のままであれば、LGBTQ+の人はハチャメチャな世界で、可哀そうな人達と思っていたのかもしれません。
しかし私の場合は、たまたま良い人と出会い、正しい知識を教えてくれる方がいたことで、そのように感じることが出来ました。 性やLGBTQ+という限られた世界(自分の知る事柄でのみ認識する世界)は、まだまだ知らない方が多くいらっしゃる事も仕方のない事だと思います。

現在の私は食事会、飲み会、お仕事、旅行など、これらの全てをゲイの仲間とも一緒に過ごす生活になりました。
ストレートの方が一般の生活の中で友達の家に遊びに行くことや、会社で一緒に仕事をすることと全く同じです。
また反面、ゲイの中にもストレートの世界の中にも苦手な人や悪いことをする人が存在します。

私にとってゲイとの付き合い方は、ゲイだからというカテゴリーで分けるのではなく、人として向き合い、良い事や悪い事だと判断しているというものです。
これは一般生活と全く同じだと思っています。

男性を好きになる理由

最近一緒に過ごすゲイ仲間は、私にとって勇気を与えてくれる大切な存在だと感じています。
彼のお陰で前進する力を持てるようになりました。このように感じることに性別は全く関係ありません。

話は戻り25年前、Aさんからの説明を何度聞いても初めは腑に落とすことが出来ないことが1つありました。
「ゲイとは体も心も男性で、男性の事を好きになる」という言葉を聞いた時、言葉の意味は理解できますが、その感覚が分からず、何度考えても頭の中を言葉だけがグルグル回り、感情を理解できないという場面がありました。
そんな時に「あなたはどうして男性が好きなの?」と聞かれ、私は今までの元カレを思い出しながら「その人の事を好きになって、好きになった人が男性だった」と答えました。
その時にAさんが「それと同じよ」と一言返事をしてくれました。
その1分にも満たない説明の中で、私はその感情が体の中を走り抜けたような感覚になり、みんな同じなのだと気づきます。
偶然のスタートからこれまでの25年間、ゲイワールドと関わりあった私の経験は大切な時間となり、今では私の心の1部となりました。

ノンビリ おこげ ライフ〜私とゲイワールド

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何かをやって時間を損するということは絶対にない。
貧乏旅をすれば、大学を二つ出たようなものだ。

永倉万治 1948 – 2000
永倉万治 1948 – 2000